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父さんだってしゃべるんだ!
by dotenoueno-okura
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  ●ごあいさつ
 これは“遺言書”であり、モノをとおして語る“個人史”でもあります。当然に、想定読者はわが子をはじめ近親者だけ。他人様には無意味な記事ゆえ、たまたま眼にして読んでくださる方があれば恐縮至極のしろものです。
 それを承知で無意味な作業を始めたのは「オレも年ごろ」という自覚と、家族に対して寡黙にすぎた反省からで、この場を借りて「父さんだってしゃべるんだ!」という変身を試みようとしたわけです。

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  ●英語辞書

 英語の辞書も何冊かあるが、国語関係(辞書辞典)にくらべるといかにも手薄で“形見分け”にできるようなものがないことに気づく。で、しみじみ見直し、つらつら考えた。

 『グローバル英和辞典』(三省堂)、『新ポケット英和辞典』(研究社)、『サンライズ和英辞典』(旺文社)……奥付の日付が比較的新しいし、ついている付箋や書き込みから君たちの誰かが置いていったものだろう。私自身のやつは、三省堂の古い『コンサイス英和辞典』一冊だけだ。考えてみれば、ほかに自分で買った覚えがない。

  ●英語辞書_e0173081_10181452.jpg

 これは昭和28(1953)年1月発行だから骨董品に近い。この年の3月、卒業生総代で頂戴した特別のものだ。当時は卒業式で先輩が授与される「ようかんのような包み」が何だかわからずにいたが、いざ自分がもらってみたらこれだった。参考書どころか教科書も買いそろえるのが大変な時代で、これをいただいたのは(うちが母子家庭だったからかも)と後に思うこともあった。当時の世田谷区長の名前入り。多分、校門の向かい側にあった「京王書房」から購入したものだろう。
 皮表紙が布のようにほころび、ページもささくれだってしまって開きにくい。赤鉛筆の跡を見るとけっこう勉強したように見えるが、その中には現在覚えていない単語も多い。私は父みたいにこのインディアンペーパーを破いて巻きたばこにするなどという芸当はしないが、いささか苦い記憶がよみがえる。

 「いまわの際に」こんなことを語るのは、その後の長い人生で晴れがましいことがなかった私が、君たちに自慢できる唯一の証拠品だからでもある。けれどもむしろ、これ一冊でやってきたオノレのつましさと不勉強ぶりに愕然としている。『ウェブスター』とか大辞典とはいわないまでも、せめて中辞典くらいは持つ、またそれを必要とするような生き方をすべきだったと脂汗がにじむような気がしているんだ。私が生きたのはそういう時代であり、君たちの場合はなおさらだろう。Conciseにとどまらない人生をと願っている。
by dotenoueno-okura | 2009-11-06 10:22 | ● 書籍・CD
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